たとえば、チラシのコピーを書くとき、ポスターのコピーを書くとき。大勢の方に届けたい、という思いから大勢に向けてコピーを書きたくなりますよね。
でも、コピーは「1人に向けて書け」とよく言われます。僕が学生時代に通っていたコピーライター養成講座でも、講師の先生たちはいつも「みんなに書くのではなく特定の1人に向けて書け」と口すっぱくおっしゃっていました。
今回はその「コピーを1人に向けて書く」についてご紹介します。意識するだけで書くコピーがガラッと変わります。3分ほどで読める記事ですので、ぜひその視点を手に入れてください。
みんなに好かれようとすると…
コピーライターのレジェンド的存在で、宣伝会議コピーライター養成講座の校長でもある仲畑貴志さんも、コピーでやっちゃいけないこととして
ことを挙げられています。
みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。
ことを挙げられています。
※この言葉は仲畑さんの著書のタイトルにもなっています。
みんなに伝えようとすればするほど伝えたいことがぼやけてしまって、結局だれにも伝わらなくなってしまうんですね。
たとえば、大勢でグループLINEをしていて、誰かがみんなに向けて投稿したとき。自分に関係のないことだと返信するか迷う…ってことありませんか。大勢に向けて書くとは、そういうことです。でも「◯◯さん、どう?」と名指しで言われるとすぐ返信しますよね。
広告でも同じ。相手に「自分ごと」としてとらえてもらうためには、大勢に向けてではなく、ほかの誰でもない「あなた」に向けて書く必要があるのです。
1人の気持ちを想像しよう
「あ、これ私のための商品だ。」
そう思ってもらうには、どうすればいいか。それはもう、とにかく買ってくれる人の気持ちを想像するしかありません。その商品をもっとも必要としてくれる人、もっとも喜んでくれそうな人を思い浮かべて、実際に目の前にその人がいるようなつもりで書くのです。
性別、年齢、未婚・既婚、年収、読んでいる雑誌は、今このチラシをどんな状況で目にしているのかなど具体的にイメージできるほうが、届くコピーを書けるようになります。
お手本:養命酒の広告
そんな「1人に向けたコピー」のお手本として、僕が大好きな養命酒の広告(コピー)を挙げておきます。
ご存知、養命酒はいろんな生薬の入ったロングセラー商品。効果・効能を調べてみると、養命酒製造株式会社には、次のようにありました。
「薬用養命酒」は、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症、肉体疲労、虚弱体質、病中病後の滋養強壮に効果的。体の基本的な働きや体質を整えながら、健康に導く滋養強壮の薬酒です。
要は健康にいいんですね。アルコールが入っているので20歳未満は飲んじゃダメですが、大人なら誰が飲んだっていい。そういう意味では、ターゲットとなりうる人はむちゃくちゃ多いですよね。でも、養命酒製造さんは大勢に向けた広告はしていません。
たとえば、過去にはこんな広告を出されていました。ざっとご覧ください。
ほとんどのコピーが一人称で書かれている、個人的な事情です。でも、わかるわかる!というものも多いのではないでしょうか。
ただただ、健康にいいですよ、元気になりますよ、とうたうのではなく、具体的な年齢や性別、シーンを想像して描くことによって、多くの共感を得られるコピーになるんですね。
1人に届けば、みんなに届く。コピーが書けない、と思ったら。ぜひ具体的な1人を思い浮かべながら書いてみてください。
ほんなら、また。
松田広宣
コピーライター
OKa-Bizビジネスコーディネーター
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